切土のり面の崩壊要因評価に関する一考察

復建調査設計梶@○ 西  邦正

山口大学工学部社会建設工学科   古川浩平

日本道路公団広島建設局   小川  健

山口大学工学部社会建設工学科   中川浩二

論文要旨

 本研究では,調査・設計・施工および管理に携わる専門技術者が切土のり面に変状が生じた際の現地調査結果に基づいて記述した定性的,主観的表現による工事報告書やのり面調査報告書などの資料を参考にして「のり面評価表」を作成した。そして,切土のり面の安定性に対する評価過程は専門技術者の経験的主観で構成される「あいまい」システムであるとみなし,実際の崩壊事例より「崩壊形態」を外的基準としてファジィシステムの同定を行った。ここで,あいまいシステムとしては線形システムの係数がファジィ数によって定義された可能性線形システムを適用した。以上より,専門技術者の経験的主観を定量的かつ客観的に取り入れて切土のり面の安定性が評価できるシステムの構築を行った。そして,得られたファジィ係数およびファジィシステムの出力結果より,供用中の切土のり面の崩壊要因および崩壊可能性について評価を行った。

キーワード

切土のり面,ファジィ理論,安定性評価,岩種特性,崩壊要因,予測,システム,ファジィ回帰モデル