連続切土区間における地下水保全工法

日本工営梶@○ 柳田三徳

岐阜大学工学部   宇野尚雄

岡山大学工学部   西垣  誠

日本道路公団   永井  宏

論文要旨

 建設工事における地下水環境保全は,今日きわめて重要な課題となってきている。その対策の一つとして地下水の人工涵養による復水工法があるが,目詰まりによる機能低下の問題もあって,恒久的な対策工法として確立されるまでには至っていない。本論文は,延長が1kmを超える連続的な切土構造で計画された道路建設において,帯水層の分断に伴う渇水対策として採用した地下水保全工法について述べたものである。工法としては,本線両側に地下連続止水壁を設置して地下水を遮断し,切土のり面および路盤の安定を確保するとともに,上流側での地下水のせき上げ効果を利用し,管理上有利な自然流下の逆サイフォン方式により下流側へ地下水を補給し帯水層中に人工的に涵養するものである。施設の構造や配置は,地下水シミュレーション解析や実規模の試験施工の結果をもとに決定した。本工法は,将来の大深度地下利用に関わる地下水環境の保全技術にも応用できると考える。

キーワード

地下水涵養,透水性,シミュレーション,道路,連続地下壁,地下水保全,目詰まり