小さな町の防災まちづくり論考

日本シビックコンサルタント(株)  ○ 技術部長 奥山 文朗
高橋 伸彰

論文要旨

 この論文は、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を契機に、災害対策基本法の改正、国の防災基本計画の見直しなどが行われ、地方公共団体でも地域防災計画の大幅な改訂が進められている中で、小さな町の防災まちづくりはどうなっているか、ある府県の7町での事例を通して考察するものである。
 市町村の町レベルでは、国や府県の地域防災計画の改訂に準じ、防災アセスメントマニュアル、震災対策計画策定マニュアル等を参考にしながら、町独自の実効性のある<防災まちづくり>を展開しようという試みが見られる。しかし、これらマニュアルはやや大都市(圏)向けの偏りがあり、小さな町には必ずしも適切な内容とはいえず、担当職員の多忙や経験不足から、いわゆる建設コンサルタント任せになったり、実践性に乏しいものになり勝ちである。
 防災の視点から町の安全性を再点検し、危険箇所(地区)の周知、避難場所・経路の確保、防災施策の優突付け、情報網の形成、防災コミュニティの構築など、焦眉の課題が山積している。限られた予算・人員・装備の中で、長期的かつ計画的な防災対応が求められている。

キーワード

小さな町、防災まちづくり、防災アセスメント、防災マニュアル、防災コミュニティ