道路橋長支間床版の設計曲げモーメントに及ぼす主桁沈下の影響

東洋技研コンサルタント   宮崎平和
弓戸秀規
糟谷恭啓
○ 小林  圭
島田  功

論文要旨

 近年、中小規模鋼橋の合理化の1つとして、少数主桁を採用する気運が高まっている。この形式の採用にあたっては、車両輸荷重を支持する鉄筋コンクリート床版の支間が大きくなり、道路橋示方書の適用範囲を超える場合もあり検討を要する。さらに広幅員になると幅員構成より3主桁形式も採用される。ところで、道路橋示方書は、主桁に対するたわみ値の制限や横桁の設置等により、床版の設計曲げモーメントの算出に主桁のたわみの影響が考慮されていない。しかし、少数主桁橋では床版支間が大きく横桁も少ないため、床版の曲げモーメントに及ぼす主桁の不等沈下の影響が懸念される。本報告は、同じ剛性を持つ3主桁で支持された単純非合成桁橋を対象に、輸荷重による床版の曲げモーメントに及ぼす主桁の不等沈下の影響を解析的に検討したものである。解析結果によると、床版の曲げモーメントに及ぼす、主桁沈下の影響が認められた。すなわち、主桁のたわみを無視したものに対し、床版支間部の正曲げモーメントは、主鉄筋および配力鉄筋方向とも大きくなり、中間主桁上の負曲げモーメントは大幅に減少する。これらの特性が、主に、主桁の不等沈下に依存していることを指摘することができた。

キーワード

道路橋床版、少数主桁橋、3主桁橋、長支間床版、床版設計曲げモーメント