貯水池のバイパス排砂システムについて

潟jュージェック   斉藤  憲
○ 大本雄二

論文要旨

 奈良県十津川村にある関西電力鰍フ旭ダム貯水池(新宮川水系旭川;奥吉野揚水発電所の下部貯水池)では近年、流域の崩壊地の拡大で何ヶ月にも及ぶ濁水長期化現象や、当初の予想を上回るダム堆砂が進行した。そこでこれらを抜本的に解消するために「バイパス排砂システム」を適用することにし、水理学的な課題に対して数値シミュレーションや水理模型実験を通して、最適通水量の決定や、トンネル閉塞回避策の検討、ダムの上下流の土砂環境変化予測などを行った。この「バイパス排砂システム」は94年に着工、98年4月から運用されていて、濁水長期化と堆砂の進行抑制や、土砂環境回復にも効果を上げており、地元住民にも大変喜ばれている。濁水ばかりでなく大粒径の土砂も流す本格的な「バイパス排砂システム」の導入は日本では初めてで、この先駆的な事例が、今後の貯水池土砂管理システム構築の1つの選択肢として他地点でも適用が始まっていくものと考えられる。

キーワード

バイパス排砂、ダム堆砂、濁水長期化、土砂環境