渓流性サンショウウオのビオトープ創出

大日本コンサルタント梶@小田正明

論文要旨

 高規格幹線道路の新設に係るトンネル残土(約43万m3)の土捨場候補地である渓流(延長約1km)において生息が確認されたヒダサンショウウオについて、保全対策として生息地の渓流を復元した先進事例について報告する。生息地(ビオトープ:延長約60m)の復元においては、現況復元を基本方針とし、湧水と伏流を復元するために不織布を半透水シートとして河床に敷設した。また、隠し護岸を埋設し、河道が自由な流路を形成できるようにした。そして、径50cm程度の中礫を河道に配置するなど、変化に富んだ現況の流況を復元するように努めた。
 追跡調査の結果、復元した生息地でヒダサンショウウオの幼生と成体を確認し、河道が浸食した護岸基部の中礫の裏には産卵も見られ、復元は概ね成功した。

キーワード

道路、砂防、両生類、ビオトープ