液状化による地下空洞調査と対策

論文要旨

本件の対象施設は、昭和40年代に築造された高潮対策のための河川排水機場である。ここ十数年来、維持管理補修の時代といわれて久しい。本機場のメンテナンスは、ポンプ設備を中心に毎年おこなわれてきたものの、耐用年数に相当する35年を経過し、老朽化が生じ始めていた。こうした中、平成7年1月兵庫県南部地震が起き、液状化による地盤沈下や吸水路内にボイリング現象が生じた。そこで、施設全体の現況調査や有識者による総合診断が行われた。この結果、ボイリング現象は、液状化による地盤沈下により杭基礎となっている機場底版下面と地盤との間に空洞が生じ、これが水みちとなって海水が逆流しているものと推定した。これを裏付けるため、厚さ1.3mの鉄筋コンクリート床版の表面から非破壊で床版下の空洞探査(地震映像探査)を行い、異常領域に対してコアリングで空洞を確認した。さらに、この空洞を水みちとした海水の逆流現象を止めるため、遮水工を計画実施し、遮水効果を確認した。本稿では、これら一連の業務のうち、対策が急務とされた吸水路内のボイリング現象の原因調査と対策について業務成果を報告するものである。

キーワード

液状化、地下空洞、非破壊探査、地震映像探査