新設道路切土計画に伴う既設トンネルへの近接影響検討

論文要旨

老朽化した狭隘な既設トンネルにおいては、大型車両のすれ違いが困難であることからトンネル前後における交通渋滞を誘発し、これに伴い交通事故の増加、さらには維持補修作業の夜間交通規制の制約など、多くの課題が生じている。この課題を解消するために、既設トンネルの前後において新設道路を切土施工するバイパス計画がある。この場合、既設トンネルに近接した切土工事となるため切土施工に伴う既設トンネルへの影響が懸念される。本計画では、掘削対象となる地盤条件の把握および適切な評価を行うことが重要であると考え、ボーリング調査、ボーリング孔を利用した弾性波トモグラフィ、PS検層などを実施しトンネル周辺地山の評価を実施した。その結果、既設トンネル周辺には、顕著な地山の緩みは生じていなかったが、覆工ボーリングの結果から覆工背面には、約80cm以上の大きな空洞が存在することが判明した。そこで、掘削に伴う地山の緩みが既設トンネル周辺地山の突発的な崩壊を誘発する恐れがあるため、三次元非線形解析により周辺地山の緩みの評価および覆工応力の安全性評価を行うとともに効率的な施工方法について検討結果を報告するものである。

キーワード

近接施工、弾性波トモグラフィー、三次元FEM解析、情報化施工、管理基準値