資料No. 04-3
報告書タイトル 建設コンサルタント業におけるe-LearningとGISの利活用
委員会名 建設業務におけるITの利活用研究委員会
委員長名 三上市蔵(関西大学 工学部 都市環境工学科)
活動期間 平成13年4月〜平成16年3月
発行年 平成16年8月1日

報告書目次

第1編 人材育成へのe-Learningの適応とコンクリート構造物点検員養成講座の構築
(第1分科会)

 1. まえがき
 2. 建設コンサルタント業界の現状と人材育成
   2.1 建設コンサルタント業界の現状
   2.2 建設コンサルタント業界の今後の動向
   2.3 建設コンサルタントに必要な人材像
   2.4 人材育成の現状と問題点
 3. 建設コンサルタント業界での人材育成におけるe-Learningの活用のあり方
   3.1 コンサルタント業界での人材育成におけるe-Learningの活用
   3.2 e-Learning活用における課題と対応策
 4. e-Learning
   4.1 e-Learningの動向
   4.2 e-Learning技術の標準化
   4.3 e-Learningシステム
 5. インストラクショナルデザイン
   5.1 インストラクショナルデザイン
   5.2 [分析]
   5.3 [設計]
   5.4 [開発]
   5.5 [実施]
   5.6 [評価]・[改訂]
 6. コンクリート構造物初級点検員の養成講座
   6.1 まえがき
   6.2 PC橋梁点検業務の現状
   6.3 事前分析
   6.4 システムの設計
   6.5 コンクリート構造物初級点検員の養成講座の開発
   6.6 システムの実行例
   6.7 あとがき
 7. 付録 画面例
 8. あとがき


第2編 GISの現状と下水道事業におけるGIS利活用
(第2分科会)

 1. まえがき
 2. GISに関する業務の現状
   2.1 近年のGIS利用の現状
   2.2 自治体におけるGISの現状
 3. 統合型GIS
   3.1 統合型GISの背景
   3.2 統合型GISの概要
   3.3 統合型GISのメリット
   3.4 自治体の統合型GIS導入状況
   3.5 統合型GISのデータ構築について
   3.6 統合型GISを利用した国及び地方自治体の公開事例
   3.7 統合型GISの新たな利活用
 4. 多次元GIS
   4.1 多次元GISの背景と目的
   4.2 多次元GISの概要
 5. 道路GIS
   5.1 道路GISの背景
   5.2 道路GISの目的
   5.3 道路GISの概要
   5.4 既運用システム
 6. 河川GIS
   6.1 河川GISの背景
   6.2 河川GISの目的
   6.3 河川GISの概要
   6.4 河川GISを利用した水情報国土
 7. 地下埋設物GIS
   7.1 地下埋設物GISの背景
   7.2 地下埋設物GISの目的
   7.3 地下埋設物GISの概要
   7.4 官民における基盤空間データの共有化
   7.5 埼玉県越谷市の実例
   7.6 道路管理システム(ROADIS)「(財)道路管理センター」
 8. 下水道事業におけるGISの利活用
   8.1 下水道事業の現状
   8.2 下水道管渠設計業務におけるGISの利活用
   8.3 下水道事業全体へのGISの利活用提案
 9. あとがき

 おわりに
 付 録
    付録1 委員会/分科会活動記録
    付録2 講演の開催概要
 (社)建設コンサルタンツ協会 近畿支部名簿(H16.7.1.現在)
  近畿支部 技術研究委員会名簿(H16.7.1.現在)


報告書全体概要

 IT(情報通信技術)は現在,日本経済活性化の切り札として大きな期待を集めている.たとえば,2000.7.21-23の沖縄サミットで採択された「IT憲章」は,ITは「21世紀を形作る最強の力の一つである」と力強く宣言している.また,2000.7.14に発表された経済白書では,IT革命は「過去の蒸気機関,電力,自動車などに匹敵する大きな技術革新の波である可能性が高い」と述べ,日本経済に大きなインパクトを与えるという見方を示している.

 国の動きとしては,総務省を中心にして電子政府(e-Japan)の構築が進められている.行政分野へのITの活用とこれに併せた業務や制度の見直しにより,国民の利便性の向上と行政運営の簡素化,効率化,信頼性及び透明性の向上を図ることを目的としている.

 電子政府の実現へ向けた基盤整備としては,「行政情報化推進基本計画の改定について」が1997.12.20に閣議決定され,「e-Japan重点計画」が2001.3.29にIT戦略本部で立案され,行政の情報化が推進されている.2003.7.17には「電子政府構築計画」の改定案が提案され,「e-Japan重点計画−2004(案)」に対するパブリック・コメントも募集された. 建設関連では,政府調達の電子化(公共事業)として,公共事業支援統合情報システム(CALS/EC)が運用開始され,e-Japanでいう申請・届出等手続のオンライン化に関わる汎用受付等システとしては国土交通省オンライン申請システムが運用開始された.これらは今後,地方自治体に適用されていく.

 こうしたIT活用の現状を的確に把握して,今後のドッグイアー的進展に対応するための方策を探る必要がある.それは,地方自治体のみならず,企業の生命線を握っている.

 建設CALS/ECの進行とともに,計画,調査,設計,積算,施工,維持管理といった建設物のライフサイクルの各業務プロセスにおける情報の電子化が進められるので,従来の紙媒体の業務プロセスから電子化に適した業務プロセスに必然的に変革していかなければならない.また,公共事業費の縮減とIT関連予算の増加という動きから,建設コンサルタント業務も従来の業務形式からITを有効活用した業務提案への脱皮が求められている.

 そこで,この委員会では,AIT(Applied Information Technology)の観点から,ITをコンサルタント業務にどのように利活用するか,ITを使った新しいコンサルタントビジネスを創出できないかを研究課題として検討することにした.

 委員会は,二つの分科会を設けて活動した.第一分科会では,ITを維持管理技術に活かすことをテーマとして,点検技術者のための学習ツールの構築を行う.eラーニングと呼ばれるネットワークを活用した学習ツールを用いて,建設業界において今後必要とされる構造物の点検技術者の養成を目指したシステムを構築する.このシステムの課題は,いかに効率的に点検技術を習得させるためにITを活用できるかということであり,そのために必要な基礎技術の習得,学習プロセスの構築,システム上での擬似体験効果の活用など,eラーニングの特徴及び既存のIT設備の活用方法について検討を行う.

 一方,建設CALS/ECアクションプログラムの維持管理フェーズにおいて,「GISを基盤とする光ファイバデータ流通環境の実現」を目指して検討が進められている.建設事業にとって地理情報は重要な情報であり,全ての業務フェーズにおいて,GISは建設CALS/ECを実現するための有効なツールのひとつである.そこで,第二分科会においてGISを取り上げて,GISに関する業務の現状,統合型GIS,多次元GIS,道路GIS,河川GIS,地下埋設物GISについて調査する.そして,下水道事業のうち管渠設計業務にGISを取り入れた場合の検討を行う.

 ここで,本委員会の位置づけに触れておきたい.最近のITの利活用の動きは21世紀の新しい動きであるかのようにいわれるが,建設コンサルタンツ協会近畿支部にIT関連の委員会が置かれたのは1990年度からである.そして,以下の委員会で調査研究が行われてきた.

 1990〜1992 エキスパートシステム構築手法研究委員会
 1993〜1995 知識情報システム研究委員会
 1996〜1998 土木情報・通信先進技術研究委員会
 1999〜2000 建設業務の標準化・高度化研究委員会
 2001〜2003 建設業務におけるITの利活用研究委員会

平成16年8月

建設コンサルタンツ協会近畿支部
建設業務におけるITの利活用研究委員会 委員長 三上 市藏


委員名簿

No. 所  属 氏  名
1 関西大学 工学部 都市環境工学科 三上 市蔵
2 関西大学 総合情報学部 田中 成典
3 潟Lクチコンサルタント 情報技術室 竹村 和尚
4 近畿技術コンサルタンツ梶@河川第二部第1課 福永 康彦
5 駒井鉄工梶@富津工場 橋梁事業部 橋梁部 東京設計課 野倉 剛志
6 中央復建コンサルタンツ梶@港湾・空港系グループ 島津 雅納
7 樺研コンサルタント 技術第1部 コンクリート試験課 池上 信
8 鞄結梃嚼ンコンサルタント 関西支店 技術第3部 奥 裕子
9 東洋技研コンサルタント梶@技術第1部 第1課 前田 康成
10 日本技術開発椛蜊緕x社 構造・橋梁部 小丸 英紀
11 日本建設コンサルタント梶@大阪支社 技術2部3課 武部 晃尚
12 JIPテクノサイエンス(株) 事業開発部 相原 憲二
13 JIPテクノサイエンス(株) 大阪テクノセンタ 橋梁技術部 岩田 敬介
14 潟jュージェック 道路グループ 道路チーム 大和 紀子
15 轄辮_コンサルタンツ 大阪本店 企画営業部 友久 英彦
16 復建調査設計梶@大阪支社 設計室 木原 智晴