資料No.

515-64

報告書タイトル

既設橋梁の耐荷力評価と補強設計の調査研究

委員会名

橋梁維持管理研究委員会

委員長名

松井繁之(大阪大学 工学部 土木工学科)

活動期間

平成8年4月〜平成11年3月

発行年

平成11年8月1日

報告書目次

まえがき

第1編 既設鋼橋のB活荷重に対する健全性評価法の提案(鋼橋分科会)

1.はじめに
2.B活荷重に対する照査の必要性
 2.1 設計活荷重の変遷
 2.2 既往の健全性評価法
 2.3 B活荷重に対する照査の必要性
3.B活荷重に対する健全性評価法の提案
 3.1 基本概念
 3.2 評価手順
 3.3 補正係数μについて
 3.4 安全係数ηについて
 3.5 たわみの実橋計測について
4.適 用 例
 4.1 対象橋梁の概要
 4.2 静的載荷試験
 4.3 格子解析
 4.4 結果と考察
  4.4.1 モデル化の検証
  4.4.2 補正係数μの算出とB活荷重載荷時の応力度評価
  4.4.3 考 察
5.まとめ
付 録
 1.鋼橋の維持管理に関する参考文献リスト
 2.「既設橋梁の耐荷力照査実施要領(案)」による試算

第2編 車両の大型化に伴う既設コンクリート橋補強の現状と一考察(コンクリート橋分科会)
1.はじめに
2.車両の大型化と補修・補強基準の現状
3.補強事例
 3.1 はじめに
 3.2 T桁橋
 3.3 床版橋
 3.4 その他の形式
 3.5 おわりに
4.既設橋梁の実応力度
 4.1 はじめに
 4.2 応力頻度測定
 4.3 測定値の分析
 4.4 おわりに
5.既設橋梁の耐力評価式の提案
 5.1 はじめに
 5.2 評価式の提案
 5.3 計算例
 5.4 疲労耐力の試評価
 5.5 おわりに
6.おわりに

第3編 橋梁下部構造の維持管理と補強設計法(下部工分科会)
1.はじめに
2.下部構造の維持管理
 2.1 点 検
 2.2 調査・診断手法
3.耐震補強工法と補強設計
 3.1 耐震補強工法の種類と概要
 3.2 耐震補強設計の基本的考え方
 3.3 単位式鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強設計計算例
 3.4 鉄筋コンクリートラーメン橋脚の耐震補強設計計算例
 3.5 壁式鉄筋コンクリート橋脚の耐震補強設計計算例
4.鉄道構造物と道路構造物との対比
 4.1 概 説
 4.2 鉄道構造物
 4.3 道路橋示方書による耐震設計
5.正負交番繰返し荷重下のせん断耐力の評価
 5.1 概 説
 5.2 コンクリート負担せん断力の低下に着目した既住の研究および設計手法
 5.3 じん性率とコンクリート負担せん断力の低下との関係に関する考察
 5.4 提案式を用いた計算例
 5.5 まとめ
6.あとがき

付 録 橋梁維持管理研究委員会の活動状況

報告書全体概要

 昭和30年代の後半から経済発展にあわせて種々の国際的イベントが,例えば,東京オリンピック,大阪万博が,我国で開催されることとなり,それを受け入れるための高速道路の建設が始まった。以来,オイルショックもあったが高速道路を始めとして,一般国道のバイパスや高規格農道等の道路基盤が備蓄されてきた。それと共に,物流の主流が鉄道から道路に移り,交通量の増加と大型車の大型化も進んできた。
 しかし,道路は勿論であるが,建設当時の橋梁構造の設計,材料選択,製作が,近年の利用状況を見込んだ最適な技術をもってなされたか不確実なところがある。一方,人々の公共心の欠如や,社会システムの遅れがあって,物流の主役である大型車の過積載は極最近まで日常茶飯事であり,極端な場合には設計軸重や設計総重量の3倍にも達する過積載車の走行が確認されてきた状況であった。前者は構造物の抵抗強度が設計値を下回る確率をもたらし,後者は逆に荷重作用が設計値を大幅に上回る現象をもたらし,構造物を傷めてきたと考えられる。さらに,酸性雨等の自然環境の悪化問題やアルカリ骨材反応等の材料問題も顕在化してきたため,構造物は疲労耐久性の低下と自然環境劣化が相乗し,種々の損傷問題が発生し,その維持管理が大きな緊急問題となっている。この問題は世界的な傾向とも言える。すでに20年程度は過ぎているが,まだ適切な維持管理方法が確立されていないと言える。
 建設コンサルタント協会の会員技術者において,橋梁の維持管理業務,例えば,点検調査・補修補強設計・耐久性照査等の業務が急増してきており,上記橋梁の損傷問題と維持管理対策の技術を習熟するとともに,合理的な方法の模索を必要としている。このような状況を勘案して,建設コンサルタント協会近畿支部の技術部会の基で,橋梁維持管理研究委員会を発足させて研究会を持つこととなった。
 上記のような昭和40年代に建設された構造物の劣化問題の解決に加えて,平成5年11月に改定された設計活荷重,すなわち,B活荷重を担うことができるように補強する必要性への対処方法,さらに,平成7年1月に発生した兵庫県南部地震による構造物の被害を反省した既存構造物の補強対策について研究すべきことが強く望まれた。
 限られた時間内であるが,委員会のメンバー数も多かったこともあり,3つのWG,すなわち,鋼橋分科会,コンクリート橋分科会,下部工分科会を編成し,活発な議論を行ってきた。そして,所定の期限を迎えたので,ここに当委員会の成果をまとめることとなった。
 本研究委員会の主な成果を3つのWG毎に取り上げると,鋼橋分科会ではB活荷重に対する補強の必要性判定に構造物の余裕剛性を勘案すべきであると提案し,その簡易判定を提案した。コンクリート橋分科会では応カ頻度測定結果をもとにB活荷重に対する耐力評価法を提案し,疲労耐力についても評価を行った。下部工分科会では準拠する設計基準で補強設計を行った場合の違いを検討し,また,正負交番繰返荷重下のせん断耐力の評価法について検討し新しい方法を提案した。
 これらの成果は橋梁の維持管理に大きく貢献する新たな知見であると考えている。活用いただければ委員会委員の望外の悦びとなります。

松井 繁之

委員名簿

No.

所  属  名

氏   名

1

大阪大学 工学部 土木工学科

松井 繁之

2

大阪工業大学 工学部 土木工学科

井上  晋

3

大阪市立大学 工学部 土木工学科

鬼頭 宏明

4

大阪大学 接合科学研究所

金  裕哲

5

潟Eエスコ 大阪支社 技術1課

玉井 恒治

6

椛蜩造船所 鉄構設計部 大阪設計課

宮川  治

7

オリエンタル建設梶@大阪支店 工務部

鄭  慶玉

8

潟Iリエンタルコンサルタンツ 関西支社

稲留 靖浩

9

片山ストラテック梶@技術本部橋梁設計部

大久保 宣人

10

川崎重工業梶@鉄構事業部 橋梁技術総括部

古川 満男

11

川田建設梶@大阪支店 技術部技術課

樋口 雅善

12

葛エ梁コンサルタント 大阪支社

藤原 一之

13

協和設計

坪本 正彦

14

褐I本鐵工所 大阪臨海工場 鉄構工事部

野村 浩史

15

褐嚼ン企画コンサルタント 構造設計部

大倉 龍哉

16

褐嚼ン技術研究所 大阪支社 道路本部

桂  謙吾

17

国際航業梶@関西事業本部 道路部

浅井 忠昭

18

駒井鉄工梶@橋梁技術部

神原 康樹

19

且井鉄工所 橋梁設計部 橋梁設計課

房  進男

20

鰹C成建設コンサルタント

樋渡 達也

21

ショーボンド建設梶@大阪中央支店 技術部

竹村 浩志

22

セントラルコンサルタント梶@大阪支社

小林  清

23

椛轟嚥Z術コンサルタント

石川 一美

24

大日本コンサルタント梶@大阪支社 構造部

佐藤 秀雄

25

中央復建コンサルタンツ梶@第三設計部

金子 昌治

26

中央復建コンサルタンツ梶@第二設計部

新田 耕司

27

樺研コンサルタント 技術第一部

松村 也寸志

28

潟gーニチコンサルタント 西日本支社

田邊 敏宏

29

潟gーニチコンサルタント 西日本支社

脇  匡生

30

東京エンジニアリング梶@大阪支社 技術部

松本 裕介

31

鞄結梠ェ器研究所 大阪営業所

福田 浩之

32

東洋技研コンサルタント梶@大阪第二技術部

宮崎 平和

33

日本技術開発梶@大阪支社 構造部

坂根 勇一

34

日本建設コンサルタント梶@大阪支社

富山 勝秀

35

鞄本構造橋梁研究所 大阪支社 設計部

石川  仁

36

鞄本構造橋梁研究所 大阪支社 設計部

三尾 一男

37

日本電子計算梶@技術営業部システム第1課

家入 正隆

38

潟jュージェック 橋梁部

大橋 紀行

39

パシフィックコンサルタンツ梶@神戸支社

木守 岳広

40

日立造船梶@橋梁設計部

大ア 洋一郎

潟Aイテック 設計1部

上本 章光

褐嚼ン技術研究所 大阪支社 道路本部

山崎 竜一

復建調査設計梶@大阪支社

藤井 友行