四谷見附橋の移設工事

川田工業梶@○ 陶器  正
岩崎祐次

論文要旨

 四谷見附橋は大正2年(1913年)に完成した鋼上路ア−チ橋であり,ほとんど当初のままで現存するこの種の橋としては最古のものに属し,その文化的価値は高い。この橋が新橋に架け替えられるにあたり,解体される旧橋の意匠やア−チ躯体は我国の近代橋梁技術の道標として保存価値が大きいと判断され,移設・再建されることとなった。移設場所は住宅・都市整備公団が現在造成中の多摩ニュ−タウン内と決定され,将来八王子市道として使用されることになっている。
 移設・再建にあたり,この橋の部材損傷度・部材強度について調査し,その結果を踏まえて移設計画がなされている。工場においては補修・補強要領の検討を行ったうえで橋体の補修・補強を実施し,現場工事では再建という主旨から,最近では使用されなくなったリベット継手を採用することとなった。 本報告は,移設に先立って実施された主構造の調査工事・工場における補修工事および現場架設工事について,その技術的特徴を述べたものである。

キーワード

アーチ橋,移設工事,腐食部材の補修,リベット工