渋滞対策検討の実施方法について

論文要旨

交通渋滞はドライバーの精神的苦痛・速度低下による時間的損失・交通事故増加・CO2の排出による地球環境阻害等の要因であり、道路事業者の大きな課題である。交通渋滞による損失時間は全国で年間約53億時間とされ、損失金額は年間約12兆円にも及ぶ。大阪府の年間1km当たり渋滞時間損失額は約3.4億円で東京都に次いで全国第2位であり、オリンピック開催地選考に際しても交通渋滞が指摘される等、その問題性は広く認知されている。本論文では、交通渋滞発生要因となるボトルネックの中でも、交通流動に及ぼす影響が特に大きいと考えられる平面交差点に焦点を絞り、多数の交差点に対する概略的アプローチ手法の一例について示すべく、大阪府下の国土交通省直轄国道8路線における平面交差点78箇所を対象とし、交通渋滞状況把握・渋滞原因特定・渋滞対策立案を実施するとともに、アウトカム指標値を用いて各交差点における交通渋滞解消効果を金額として評価した。また、これらの結果をとりまとめて台帳に代わる「交差点カルテ」を作成し、今後の事業実施および管理の基礎資料とした。さらに、交差点改良事業における新たな住民合意形成手段として、交差点3次元CGシミュレーションを作成した。

キーワード

交通渋滞,ボトルネック,平面交差点,渋滞対策,アウトカム指標値,交差点カルテ,3次元CGシミュレーション